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*緊急アッピール

政府は直ちに自衛隊を撤退させよ!
政府の「人道的復興支援」の欺瞞を批判する。
3人の同胞の「人質問題」について

                        「自主日本の会」・塩見孝也

 4月8日、「アルジャジーラ」の報道を通じて、3人の無辜と思われる、我が民衆、同胞がイラク人の武装組織によって誘拐され、人質にされていることが明らかになりつつある。

 この事件は日本民衆にとってもイラク国民、民衆にとっても痛ましい事柄であるが、日本政府、支配階級が理不尽きわまる無道、不正義、大義なき侵略・征服の自衛隊海外派兵らを中心とする帝国主義政治を実行している限り、起こるべくして起こった事件といえる。

 我々は3人の民衆・同胞が早急に無事解放されることを切に願ってやまない。

 我々はイラク民衆や武装民衆が、民衆と民族の国際連帯の原則的見地からして、この問題を早期に解決する英知ある行動をとって下さるように切望するものである。

 侵略と征服の覇権行為を推進せんとする帝国主義のアメリカや日本政府の侵略に反対し、全くの非武装で、心からイラク復興を願って、イラク民衆の立場に立って行動する無辜の日本民衆、同胞を区別できず、無差別に、それがたとえイラク人の反侵略・国と民族の自衛を推進する民族的英雄、愛国者達の武装組織であっても、暴力でもって強制的に、人質にし、あまつさえ、殺害しようとするのであれば、それは全くの間違いである、と考える。

 この行為は「樹を見て、森を見ない」近視眼的な非人間的・反民衆的行為といわなければならない。

 しかし、このようなイラクの武装組織の過ちはブッシュ・アメリカ帝国主義とそれに協力してきた日本対米従属の支配階級のイラク民衆、国民に取ってきた侵略と征服の仕打ち、劣化ウラン弾らによる残虐な仕打ちを考えれば、避けがたい過ちの性質が含まれており、両者の行為には月とすっぽんの違いがあり、我々は、ミソと糞を一緒にするように、両者の行為を同じ平面、同列の問題として論じることは断じて出来ない、と考える。

 イラク民衆のこの過ちは侵略と征服に反対して、国と民族の主権、民衆と国民の基本的な人権を守る正当な自衛のための闘いの中での過ちである。

 アメリカと日本の帝国主義者、支配階級の侵略、占領の無法、無道行為は強者がその連中の私的営利の為に、軍事的には、いまは弱い、イラク民衆、国民を残虐に、殺すことを意識した何の道義性もない、否、道義性もないことを意識し、虚偽の人騙しの理屈を作り、正当性を粉飾せんとした二重、三重に天人許さぬ破廉恥行為である。

 これは断じて過ちではなく、始めから、終わりまでの、足の爪先から頭のてっぺんまで意識的な反民衆、反人間、反民族、反人類の邪悪行為である。

 このような悪業の行為を日本や世界の民衆、民族が、日本帝国主義とアメリカ帝国主義との勢力と闘争し、それを阻止し、自衛隊を撤退させない限り、イラク民衆は、このような過ちをやめさせることは出来ないであろう。

 我々日本民衆、民族は米・日帝国主義のイラク侵略阻止の闘いの不十分性こそを、深く反省しなければならない。

 政府・福田官房長官はその日の夜、「我々はイラクの人道的復興支援を行っているのであって、自衛隊派遣をやめない。日本人がこのような理不尽を受ける謂われはない。怒りに耐えない。」と如何にも正義面、被害者面をしつつ、意見表明をした。

 この記者会見は全く欺瞞に満ち、イラク民衆、国民と日本民衆、日本国民を愚弄し、徹頭徹尾、両民衆、両国民の尊厳を地に貶める、ペテンそのものの態度であり、日本民衆を犠牲にしても、この侵略の悪業を止めないと言う、断じて見過ごすことの出来ない、許しがたい態度表明である。

 しかも、この言説は、「テロに屈しない」と、自分達にかけられてくる、イラク、アラブの民衆の怒りの報復攻撃への自らの恐怖を隠し、浮き足立ちつつある、帝国主義者たちの動揺を静めんとする、日和見主義の苦肉の言い草でもある。

 これは、自らが取った、全く間違った大義なき侵略行為としての不正義の自衛隊海外派兵の言い訳であり、自らの過ちを「屋上屋を重ねる」形で開き直る、醜い責任回避の態度とも言える。

 果たして、自衛隊の海外派兵は「イラクへの人道的復興支援」であろうか? だんじて否である。これは徹頭徹尾の全くの欺瞞である。

 ブッシュ・アメリカ帝国主義は昨年国連決議や世界の反対意見も無視し、核兵器も生物兵器も見つけ出しえないまま、イラク侵略戦争に乗り出した。

 これは、軍隊を他国に侵入させてはならない、という国際法の基本原則において、又石油利権を目指している点で、全くの義のない利だけの軍事行動、戦争行動である点で、紛れも無い帝国主義特有の侵略戦争であった。

 昨年の侵略戦争の支持に続いて、日本小泉政権は今年になって、明瞭な理屈付けも出来ないまま、アメリカの要求にしたがって、この2月〜3月自衛隊を派兵した。

 日本支配階級はこれをもって具体的に、アメリカの目下の従属帝国主義として、イラク国への共同の侵略行動に踏み切ったのである。

 わが日本国執権帝国主義者たちは、アメリカの無道なイラク侵略とその上でのイラクの占領支配、征服をアメリカ帝国主義と共に共同で開始したのである。

 これが、どうして、「人道的復興支援」と言えようか。

 自衛隊の「復興活動」をメディアは「人道的復興の福祉活動」と、称し臆面もなく報道しているが、「人道的復興活動」は、侵略行動を補完する侵略をカムフラージュする狡猾きわまる欺瞞策以上の何者でもない。

 一方でイラク民衆を欺瞞しつつ、他面では日本民衆をも同時に欺瞞し、アメリカ帝国主義の侵略を軍事的・政治的に補完しつつ、アメリカが独占せんとするイラク利権のおこぼれに預からんとする、全くの小ずるい大義のなき破廉恥行為といえる。

 この行動にイラク民衆、国民が憤激するのは道理のあることである。

 自衛隊はありていに言えば、アメリカ・ブッシュ帝国主義の派遣した侵略軍隊と手を組んでイラク民衆を殺しに出かけたのであり、抵抗するイラク民衆の反侵略の自衛行動を圧殺しに出かけて行ったのである。

 これが今回の事件の根源であり、直接の原因でもある。

 言ってみれば、庶民の家族が暮らしている家屋に、二人の強盗が、無法に武装して、侵入し、不法占拠し、押し込み強盗を働き、居座るべく、一方は家族を殺害したり、縛り上げたりして「服従する」ように、恐喝し、他方は自分の占拠のために、「壊れていて、不便である」からと「お為ごかし」を言い、侵入の際、壊した、家屋を恩着せがましく「普請してやる」と 言っているようなものである。

 これが、日本小泉政権がやり、福田がいなおり、強弁している主張の本質である。

 この際その家の家庭内問題がどうあろうと、問題にならないのである。問題の核心は、この強盗たちが不法な押し込み強盗を働いたことである。その際、この強盗どもを家人たちの一人が、「強盗の係累に属する」と、勘違いする間違いをおかし、この強盗どもを批判し、家人たちを助けようとしている人を傷つけようとしている、ということである。

 これが、正しい今回の事態の大局的認識であり、我々は、断じて、「樹を見て、森を見ない」近視眼に陥ってはならないのである。

 政府ら執権勢力やブッシュア・アメリカ帝国主義の思惑は、このような近視眼的認識をイラク人への敵視、排外主義的感情に育て上げ、その感情を侵略と征服を正当化する帝国主義者の感情に変質させ、日本民衆、国民を帝国主義者に育て上げようとしているのである。

 今こそ、日本民衆、国民は国と民族、民衆の英知と勇気を発揮する時である。

 暴力に対して、暴力で対する悪循環を断ち切り、人民大衆中心・人間自主・民族自主・非暴力の見地で、物事の根源からしっかりと捉え返しつつ、帝国主義の侵略、征服の行為、その要としての自衛隊のイラク派兵を日本人民、日本国民の名において、その名誉において阻止していかなければならないのである。

 この闘いの具体的前進のなかで、人質問題を正しい民衆的、民族的国際連帯の中で迅速に解決してゆかなければならない。

 日本民衆は、もう一度、戦前の侵略戦争や帝国主義同士の覇権争いに巻き込まれてはならないのである。

 愛国心が問題になっている。愛国心とは何か、愛国心はどのように発揮されるべきか、をしっかり考えるべき時と思う。

 この問題は多岐にわたる沢山の深い大論議が必要であるが、さし当たって明確にしなければならないのは、愛国心とは日本国民が、日本民衆一人ひとりが自主的に生きれるように、他民族を侵略せず、他国から侵略されないよう国と民族の自主権を擁護しぬくことである。

 したがって、アメリカの言いなりになって、侵略を推進する自衛隊が即時撤退することを徹底追及し、この行為を推進している政府支配勢力と徹底的に闘う事が真の愛国心であると考える。

 海外派兵の是非善悪を、民衆中心で、従って民衆の国際連帯を中心に考えず、ただ国と国、民族と民族の利害得失、優勝劣敗の思想、観点で、この問題ら国際紛争を考えることは、帝国主義者に乗じられ、偽の「愛国心」の泥沼に引きずりこまれてゆく。

 愛国心ある日本民衆、国民はこう確認し、人質問題に展むべきである。断じてアメリカとつるみ、軍事力増強、増派兵でもって侵略の殺しの泥沼世界にのめり込んで行ってはならない。

 逆にアメリカの日本従属化・支配、日本従属支配階級の売国と侵略の政治、自衛隊の海外派兵継続、強化と闘って、これを阻止することで、真の愛国心を磨きぬくべきべきであろう。
    −2004年4月9日、ニュースを聞いて、一晩集中して書き上げたー