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塩見発言と「よど号」グループの対応に関して

 塩見氏による「よど号」グループ拉致関与の可能性指摘に対して平壌の出した声明を読むと、塩見氏の言わんとしていることを理解したものとは思えない。或いは敢えて説明を避けているようにも思える。

 まず、氏は有本さんを共和国に連れて来たとは言っていない。氏が語っているのは石岡さんについてである。塩見氏が敢えて虚偽の証言をする理由があるのだろうか?うるものは何もないはずで、さらに旧左翼の人たちの中からは誤解して「仲間を売った」などという輩が出てくる可能性すらあります。

 塩見氏のホームページに今年4月に平壌に呼びかけた文が掲載されているが、その中で有本さんの件に触れている。「朝鮮にいる唯一の日本人グループとして、同胞の有本さんがいる可能性がある以上、調査して、最低限安否とこれまでの動静をご両親と日本国民に明らかにすることです。」これに対する文書なり声明が出されたことはない。この時点では朝鮮当局は拉致に関しては行方不明者の調査再開を表明したにとどまっていたが、9月の日朝首脳会談に至り、有本さんを含む日本人拉致を認め謝罪、さらに8名の死亡を発表するに及んで日本国民の目は死亡した8人の詳細な経緯に焦点を絞っている。欧州からの3人に関しては「よど号」グループの関与が公然と言われている中での塩見発言の持つ意味は重い。「よど号」グループは塩見氏の立場を警視庁公安と同列に書いているが、塩見氏の問いかけには答えていない。

 3月19日の八尾証言は「良心の告白」かの中で、欧州に行き日本人で思想的に共鳴し、共和国訪問の希望を持つ人にたいし、その便宜を図ったことがあると言っているように、日本国民は欧州から「よど号」グループに関係して訪朝した日本人たちが居ることを知っている。問題になっている3人もそんな中の人たちではないかという疑問を抱くのはごく自然なことである。

 特に石岡さんに関しては森さんと一緒に写っている写真の存在に対しての明確な説明がないまま今日に至っている。その石岡さんについては朝鮮が拉致、死亡を認めているわけで、更に有本さんと共に事故で死亡したと発表されているが、こんなにも偶然が重なるものだろうか?

これは誰が聞いても偶然ということでは納得できない。
 平壌の声明は塩見氏が虚偽の「証言」をしたと言っていますが、仮に塩見氏の証言が虚偽のものだったとして石岡さんに関する疑問は解けません。日本の人たちの99%は「よど号」メンバーによる拉致関与を疑わないでしょう。ならば、まず積極的に石岡さんに対する疑問点を明確に説明することが誤解を解く最良の方法ではないのだろうか。朝鮮当局は先の首脳会談で石岡さんの拉致を認めましたが、「よど号」メンバーが全く関与していないと言ったわけではありません。ですから9月21日の声明の中で、潔白を証明するものですと言っていますが、朝鮮当局の発表が「よど号」メンバーの潔白を証明したことにはなりません。

 有本さんに関しては「よど号」グループ関与説は八尾証言だけです。これはどこまで信憑性があるか分かりませんが、100%デッチ上げとは言えないでしょう。欧州から平壌に行ったという事実は朝鮮当局が拉致、死亡を認めているのでデッチあげでは説明がつきません。  八尾と特務機関がやった可能性があると言っているが、グループは各々が独自で活動して、個人の活動には全く感知していなかったのか?これは「よど号」グループの組織としての存在を考えた時に大いなる疑問点が残る。

 いずれにしても日朝国交正常化交渉で、拉致、核問題が、まず議題になると考えると現段階で拉致被害者リストにある人たちの詳細を明確に示すよう日本側は要求するはずで、いつまでも調査中では済まされないはずである。

 まず日本人が抱く疑問点を分かりやすく説明することによって自らの潔白を証明するということが早急に望まれる。やっていないことは証明できないといった理屈では問題解決にはならない。7月10日の声明で「容疑」を晴らすことは一刻の猶予もならないものと考えていますと自らが言っているように、早急に疑問を解いて自ら潔白を証明するべきである。
    唐崎 正臣(映像プロデューサー)

かりの会、ホームページ:塩見孝也氏の「創」記事について