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「朱蒙」(チュモン)と「母ベえ」(かあべえ)を観て

2008年 3月 5日

塩見孝也

好きな映画やドラマをゆっくり楽しんで、観たいものです。

というよりか、観た映画を、存分にその感動や人間としての表れ、思想などを、じっくりと思索し、批評したいのに、それに回す時間がないこと、それが残念です。どうも、僕は、表現に凝ることに飢えているようです。

こんなものと、諦めています。

この、一週間ぐらいの収穫は、韓国テレビドラマ「朱蒙」(チュモン)のDVDを見たことです。

25巻あるそうですが、15巻までビデオ屋に置いてありました。

一回3巻ぐらいで一気に15巻見ました。

古朝鮮が、<漢>に侵略された後、これを終わらせて高句麗を建国する英雄の物語なのですが、この英雄譚は、まー、どうでも良いのですが、そこに映像化されている、朝鮮人の文化についてです。

朝鮮国には、何度も足を運びましたが、古朝鮮の始祖は「檀君」と信じられており、僕もピョンヤン近くの、10年近く前に、発掘された陵に行ってきました。檀君陵といいます。

僕は、この映画で、朝鮮人、半島に、日本人の<故郷>を感じました。

酒の飲み方、博打ちの仕方、冗談、喧嘩、仁義の切り方、惚れた、腫れた、の挙措の現れ方、武や弓や騎馬民族的な馬の扱い方ら、風俗・習俗、そして母親とその子供、特に男子の関係に見られる朝鮮式の儒教的な政治の在り様とその心理構造−−−僕には遠い“故郷”を感じさせてくれるのです。

朝鮮人の「天」の死生観、運命観などが、かなり、僕流ですが、よりしっかりとしたものとして掴められるようになりました。

朝鮮の人達は、やはり、朝鮮式儒教が、根元に、どっぷりとあることを痛感しました。

勿論、日本人は、南(東南アジア)、北から(バイカル湖らシベリア)、太平洋の海の諸島、中国大陸、朝鮮半島ら、各方面から来た雑種民族ですが、それでも、この映画は、朝鮮半島、朝鮮人の文化的、血縁的影響の大きさを感じさせるのです。

一巻、2時間半ぐらいですから、15巻でも大変でした。

BSフジ、そしてフジテレビ地上波で放映され、今度DVDが出回って、ちょっとしたブームになるかもしれません。

余談ですが、韓国では、週2回、大河ドラマが放映されたらしいです。 その視聴率は52%だったそうで、怪物番組です。

僕は、後10巻、TSUTSYAあたりから、郵送してもらって、観ようと思いました。



山田洋次監督の「母べえ」(かあべえ)、新宿に行ったついでに、観てきました。

治安維持法下で、弾圧に屈せず、闘う母・子の物語です。

時代状況にがんじがらめにされ、動きは小さく、ひっそりと生きる「母ベえ」達ではありますが、譲ってはならないし思想の本筋に関するところでは、母ベーが鋼鉄のような厳しさを示すところが、印象に残りました。

夫の「父ベえ」は、治安維持法で投獄され、不屈に闘うが、遂に獄死します。

黒澤明監督の戦前からの秘書の方の自伝を吉永小百合が演じているわけですが、彼女の原爆詩朗読に見られる思想と重なって映出されていました。


塩見孝也