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映画「半身反義」公開イベントのお知らせ

5/4(月・祝)には、僕もゲストして竹藤監督とトークをします


2009年 4月 30日

塩見孝也

  ■横浜シネマジャック&ベティで映画「半身反義」公開

  5/2(土)〜5/8(金)連日16:00〜17:30 Cafe シアターにて

  ワンドリンク付き 一般1500円、大高1200円 小中シニア1000円
  監督とゲストのトークイベントあり

 【5/2(土)】
  ゲスト:松江哲明監督(「童貞。をプロデュース」)

 【5/4(月・祝)】
  上映後、17:45より「GUN AWAY!実録・連合赤軍メイキング」特別上映(別料金)
  ゲスト:塩見孝也氏(元赤軍派議長)


 【5/6(水・祝)】
  ゲスト:中村高寛監督(「ヨコハマメリー」)

  シネマジャック&ベティ
   TEL:045-243-9800 
http://www.jackandbetty.net/


■渋谷、アップリンク・ファクトリーでもイベント上映
  5/10(日)開場17:30 開演18:00  一般1500円
  上映後、マエキタミヤコ氏(クリエイティブディレクター・「サステナ」代表)、
  竹藤佳世監督によるトークあり。

  アップリンク・ファクトリー
  tel.03-6825-5502 http://www.uplink.co.jp/factory/


 


 竹藤佳代監督「半身反疑」が5月2日(土)〜5月8日(金)に、「横浜シネマジャック&ベティ」で連日、公開されます。

 その後、5月10日(日)から渋谷「アップリンク・ファクトリー」、そして6月には、大阪・「第七藝術劇場」、京都では、「京都シネマ」で順次公開されてゆきます。

 僕は、5月4日(月・祝)に招かれ、上映後に監督と、トークをします。

 尚、この日には、17:45より、竹藤監督が撮った「GUN AWAY!実録・連合赤軍メイキング」が同時に特別上映されます。

 監督とのトークは19:00からとなります。
 
 この映画は、未だ世に出ているとはいえないかも知れませんが、必ず、徐々に注目を引いてゆき、いずれは世に出てゆく、極めて、よき映画で、今春の連続上映はその皮切りとなるのではないでしょうか。

 僕は、5月4日、この映画上映のゲストに、招かれたことを光栄に思っています。

 皆さんが、ゴールデン・ウィークの半日を費やされるに、十分に値する映画と思います。

 とりわけ、神奈川県在住の方々には、よろしくお願いいたします、と言わせて頂きます。
 
 今、上映中の映画「グラン・トリノ」は、<人生をいかに締めくくるか>を考える80歳となったクリント・イーストウッドが、「これから、人生をいかに生きるかを考え始める」少年との関係で、そのことを映像表現するものです。

 視点は変わりますが、アカデミー賞映画、「おくりびと」は、老いて、旅たってゆく人々を、<日本人はどう<送ってゆくか>を考えさせる映画といえます。

 ともに、現実の社会、集団の中で、老い行き、逝去する人々とその人たちを介護し、送る人々の関係性を考えさせます。

 老い、死する人の立場からの映画では、黒澤のシェークスピア・「リヤ王」を模した、「乱」があり、老人問題と取り組んだ映画は沢山あります。かつての「乙女の泉」「不良少女、モニカ」などで有名な、スエーデンの名監督・イングマール・ベルイマンもこの種の映画、「野いちご」を作っていたことを思い出します。

 しかし、これまでのこういった映画は、<送られる>人や<送る>人の立場性は追求されていますが、いずれも一方的で、その両者を社会的な関係性、その双方向性として、追われてはいなかったように思います。

 ベルイマンのものは、これらとは異なりますが、ある種の強烈な思い込み、宗教的境地を描いていたように思えます。
 
 しかし、この大不況の中で、老人問題は深まってゆき、日本はますます、「老人大国」となり、この問題は、深刻となってきています。

 とりわけ、団塊の世代が、定年期、60台に達し、大きな社会問題として登場して来ています。

 であれば、この問題は、決して彼岸的、唯心的問題としてではなく、優れて此岸的問題と深く関連して、より、ハードルが上げられ、質の高い、映画表現が要求される、と思われます。

 つまり、一方では「自己責任論」を言い立て、自己中心主義で、非情に「後期高齢者法」などとして法制化されてゆくように、老年世代を「弱者」と規定し、切り捨ててゆく対応も鋭化し、他方では、此の対極に、この双方的関係性を、内面にまで降り下りながら、両者が、共に「自己の他在」としてありえるような創造的、変革的関係性、あえて言えば、共同性、協同性、協働性の創造が求められて行くものと思われます。

 実際にそのような試みが映像化されても来てもいます。先にあげた二つの映画は、そのようなものとして、注目されるべきでしょう。
 
 「半身反疑」は、映画人としての「恩師」とも言える脳梗塞で仆れ、半身不随となった、演出家・山岸達児を、30歳か、40歳も年下の「弟子」、竹下が「自己の他在」として追った映画であることが先ず確認されるべきでしょう。

 第二に、確かに、何がしかの性、エロス的要素を感じさせないこともないですが、そして、そこに、この映画のすれすれとも言える斬新性、特異性があるのですが、注目すべきは、その斬新性、特異性とは、エロス的関係性を越え、共同性、協同性、協働性、義、信義の二人の映画人精神に昇華されていっている、このことではないでしょうか。

 この点で、「半身反疑」は、上記二つの映画の魁(さきがけ)をなすような、ある意味では、出色の映画といえる、と思います。
 
 ともあれ、皆さん、どうか、此の映画を一度観てください。必ず、何かの感動を覚えられ、いろんな想い、想像力に駆られるものと思います。
 
 竹藤は、此の映画を、一方で、河P直美監督「殯(もがり)の森」(カンヌ映画祭グランプリ[審査員特別大賞]受賞)の助監督をやりつつ、他方では、若松孝二「実録・連合赤軍」のメイキングをやりつつ、創っていった、と言う。

 此の両監督の狭間にあっての緊張関係が彼女の独自性、自主性を鍛えて行ったのではないでしょうか。

 彼女は、並でない骨太さ、荒削りさと繊細、ナイーブさを兼ね備えた知的なファイト・ウーマンであり、そのバイタリティー、映画人精神は凄まじい。

 彼女は、なんと剣道二段の有段者でもありました。

 映画「半身反義」の公式ページはこちらです。
 http://www.hanshinhangi.com/


塩見孝也