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*9月中旬訪朝に当たって 塩見孝也

朝鮮の運命を占う。「ピョンヤン宣言」の原点に戻り、前進しよう。


 目次
 一、この問題に立ち向かう立場、観点、方法
 二、9/17とそれ以降の事態とは?朝鮮拝外主義の集団ヒステリーから解放されよう。
 三、アメリカはどう動き何を狙っているかーーアメリカは戦争を仕掛けない、仕掛けられない。
 四、朝鮮はどうなるかーー朝鮮は潰れるか、潰れない。
 五、朝鮮はどうなるのかーー朝鮮の運命とは?
 六、連邦制の可否を問う
(七、八章はあくまで構想・企画の段階で本決まりではありません)
 七、日本と朝鮮ーーー日本はどうすべきか
 八、日朝不戦、「ピョンヤン宣言」実施の平和義士団をピョンヤン送り出そう。

  (一)この問題に立ち向かう立場、観点、方法

 「勝てば官軍、負ければ賊軍」「勝ち馬に乗る」傍観者、日和見の観点を排す。
 今の日本に於いて如何にこの風潮、日本的付け焼き刃的日本型ネオコン人が多くなっていることか!或いは「他人の褌で相撲を取る」態度を止める。他方で朝鮮盲従主義、冷戦思考も同時に批判する。
 冷静さの必要と日本人、日本国民としての愛国心、自主性、主体性の必要。ーーー戦後日本人の主体性とは---9/2ミズーリー号調印ー片面講和ー東京裁判による国民的民族的主体性をへし折られから自己回復することがナント重要なことか!

  (二)9・17とそれ以降の事態とは?ーーー朝鮮拝外主義の集団ヒステリー状態から脱却しよう。

 ・あの時、日朝両国民の積年の課題、国家・民族の和解、相互理解の可能性の光が射し込み始めたことを誰もが感じたことであろう。しかしそれは拉致問題ショックで一挙に暗転して行った。あれから10ヶ月、後2ヶ月で9/17日朝首脳会談・「ピョンヤン宣言」の一周年がやってくるものの、日朝関係は今最悪の状態となっている。メディアを最大限に使った、朝鮮敵視、拝外主義を煽った緊張状態が現出されている。
 「9/17」は幻を見たかの如く思われ、反古とされ清算されつつある哀れな現状なのである。

 日本民衆は集団ヒステリーに陥っていると言って良い。否、敢えて言えば朝鮮国とこの国家に「管理されている」とは言え、朝鮮民衆までもが、この対抗関係でこれに感染していると言えないことも無いのである。  この意味で日朝関係は今どん底化にある。在日朝鮮人の精神的動揺、被差別状態の進展もひどい。
 「もう他国、他民族のことについて、嘘か本当か分からない大仰なワイドショウを見させられ続けるのはうんざりだ。」「人肉を食っている」だと!
 蓮見さんの講演に同志社大学(自治会?)はナント200万の講演費を払ったという風聞さえある。
 一体この先に何が待ちかまえて居るのか。朝鮮「制裁」戦争の泥沼に、わけも分からない内に、我々を引き込もうというのか。
 このようなどん底関係に至ることにおいて、徐々の反発状態、リアクションが民衆レベルで形成され始めている。
 これはやがては国家レベルへと波及して行くであろう。
 何故ならこの集団ヒステリー状態の果てに何が待っているのか、が見え始めてきているからである。
 ここから冷静さが呼び戻され、理性が働き始め、日朝両国民、民族の国際連帯の気運が醸成され始めてきている。この反発バネにしっかり立脚し、情勢を冷静に見極め、情況を元の9/17の原点に揺り戻させて行くべきである。

 ・9/17日朝首脳会談とは?「ピョンヤン宣言」の意味とは?

 9/17首脳会談とは?日朝首脳が戦後初めて会談し、戦後処理、平和・安全、経済協力、国交正常化について論じ大方向の大筋を確認したことである。これは戦後日朝関係に於いて画期的なことであり、不幸な日朝近代史を正しく締めくくり、未来に出発する決定的な一歩であった。
 更に、懸案であった拉致問題について朝鮮側が譲歩し、これを認め、謝罪、解決の基本方向を示し、日本国民への友好感情を示した。このことで、両国民衆に横たわっていた最も緊要な人道的、精神的問題に解決の糸口を与えた。

 このキム・ジョンイル氏の党と国家を代表しての自己批判は背に腹は代えられない事情や日本とアメリカの分断、朝鮮への引き寄せ等の思惑はあったモノの随分思い切った決断であったろう。
 日本民衆が政府レベルと違ってあれほどのショックと反発を示すとは、独裁体制の朝鮮国にとって、「管理下」にある朝鮮民衆しか接して居なかった朝鮮指導部にとってはて予想外のことであったろう。
 その反応の大きさ故に朝鮮人、韓国人の間で「黙っておくべきであった」と言う極論まで飛び出す始末である。

 しかし「無謬の人」、「無謬の党」は存在しないのである。キム、ジョンイル氏が自己批判したのは初めてであり、高く評価されるべきである。この評価は次第に確定して行くであろう。
 民族も又一人の人間が成長する過程で重要なことを成したり、過ちを犯したりするように過ちを犯す。ある民族だけは過ちを犯さないとするのは、それは全くの錯覚である。そういう言う過ちを二度と犯さないように、しっかりと反省し、前進成長して行けば良い。

 朝鮮人、韓国人はこれまで日本人に対し、日本人の近代での過ちに対し、優越感を持っていた。日本人の方はコンプレックスを抱いていた。
 しかし、今回の拉致問題はそれらを張消しにしたとは言わないが、しかも量的に見たら問題外に日本人の方が大きな過ちをしていると言えるが、質的には同等な過ちだったと言える。
 この点をしっかり踏まえ、未来に向け相互の民族的痛みを理解しあい、未来に向け協力しあって行くべきである。
 とは言え、現在の痛みの方が重要である、と言って、過去の日本人のなしたことを忘れさったり、正当化し、開き直り、「制裁」論をぶったりするのは、トンでもない過ちである。開かれ始めた日朝相互理解の扉を、再び閉ざすことなく、開ききっていかなければならないのである。

 この報告の中に松木さんのお骨の問題(や「よど号」グループの対応)等多くの不手際が在り、日本人の神経を逆なでしたりしたが、まだその状態は改善され切れてないが、大局に於いてはこれは一時期家族を始め日本人に大ショックを与えたが、政治(アメリカや日本の売国反動勢力の圧力、突き上げ)が絡まねば、日本人は冷静さを取り戻し、一定のプロセスは伴うモノのやがては解決する問題である。
 しかし人権、人道問題は逆に政治を絡ませて行けばほんの少量でも質的には根本的質を伴っているが故にこじれにこじれ最悪の戦争的事態にすら陥って行く。
 今の事態が正にそう言う事態である。こじれることによって核問題と結びつきつつあるのである。

 1周年を二ヶ月後に迎える今、我々はこの10ヶ月近く襲っていた集団的ヒステリー状態から醒め、9/17の画期的意義をしっかりと意識し直し、そこから問題を整理し、一年間を締めくくり、2年目へと歩を進めて行かなければない。
 ・拉致問題の露呈・拉致家族の悲嘆、全国民的落胆と同情ー5人の帰国と日本側の「約束違反」・5人の「拘束」

 ・アメリカの圧力と介入の要素、日本側の依存の要素、そうこうしているうちに年が明け、アメリカではネオコン勢力がブッシュの本隊勢力として、その本質をあらわににしてき、イラク侵攻の現実化、そして実行となり、小泉政権は9/17に示した一定の自主性や成果を忘れ去り、拉致問題までアメリカに頼って、戦争的に解決せんとする最悪の愚策の道を歩んでいった。完全にアメリカのペースに巻き込まれていって居るのである。朝鮮問題をイラク問題にリンクさせ、アメリカ依存でネオコン路線で解決せんとする決定的とも言える、過ちを犯したのである。ーーそれが以下の過程である。ネオコンの台頭ーアメリカのイラク戦争・侵略・占領の横暴・その日本政府の支持ー「悪の枢軸論の実行、有事立法、個人情報保護法案、イラク新法、自衛隊派遣法ーーそして「ピョンヤン宣言」の実質的反古化、清算である。最近では50万トン重油提供停止、KEDO解体提案と続いている。

 「救う会」「拉致議連」の家族会への専横、引き回しー日本民衆の同情が拝外主義へと転嫁しつつある。家族会のアメリカ依存化・国家主義の台頭・マスコミの宣伝、扇動の要素
 ・朝鮮側の反発ー朝鮮核開発・核武装宣言と孤立を耐え抜く全国民的動員

 このような日朝関係の最大の要素は核問題でもあるが、精神的、感情的には拉致問題なのである。日本人がマスコミに煽られ、冷静さを喪い、感情的になり、集団ヒステリー状態になっていることである。それに朝鮮側の挑戦的核開発、核武装宣言が輪を掛け、思考停止におちいっているのである。

 核問題は韓国、日本も関係しているが朝鮮側が言う如く、主要には朝米関係であるが、拉致問題は全く日朝関係である。
 そうである以上、さし当たって解決出来るところから解決行く方法も検討すべきで、先ず拉致問題を日朝双方は純人道上の問題として全体から切り離して先ず先に解決すべきである。日本側の驕慢か、と朝鮮側の一対一的それへの反発、つっっぱりの態度は双方反省されるべきである)

  (三)アメリカはどう動き、何を狙っているか。アメリカは戦争を仕掛けない。仕掛けられない。

 アメリカは対朝鮮軍拡、包囲・経済的干し挙げ、疲弊化戦略や「先制攻撃」論をぶち挙げているが、ブッシュ再選(可能性は高いが、決して断定出来ない)を挟んで5.6年しても戦争を仕掛けないだろう。仕掛けられない、とも言える。

 近々中に朝鮮半島でイラク戦争的事態が生まれると見るのは全くの早計である。これは全くのアメリカの仕掛けにはめられた虚妄である。アメリカ・ネオコン的政治をすぐに適用することは考えられない。
 「イラク侵略の勝利の余勢をかって、北朝鮮も一挙に打倒する。それは簡単なことである。」このような見方は全くの素人考えである。
 アメリカの基本重点地域はあくまで中東である。又中東で手一杯である。
 アメリカの狙いは当然にも石油独占化とイスラエル防衛、侵略拠点確保の問題ーーその為の中東全域での覇権確立である。
 極東は日本、韓国を先兵にする形で,アメリカが手綱を握りつつ、日本、韓国に任す戦略である。或いは中国を介在さす戦略である。その間にTMD構築等で武器を日本等に売り込み大儲けする作戦が裏の決定的狙いである。

 理由ーーー先ず全くと言って犠牲を払って手に入れるだけの経済的メリットが朝鮮に無さ過ぎる。朝鮮はイラクに比べ軍事的「強国」で、南北は陸続きで近接し、軍事的被害がイラク等とも比べ圧倒的に多すぎる。  韓国民衆が望んで居ない。周辺超大国中国、ロシアも望まない。
 日本も又第一次朝鮮戦争と違い、戦争当事国となり、戦争被害を免れない故望まない。これらの諸事情をアメリカは知悉している。又ブッシュ政権もカーター、ブッシュ、クリントン政権が認識していった朝鮮の「手強さ」ー朝鮮問題の難しさの認識に同じように必ず至る。

 「悪の枢軸論」「北朝鮮脅威論」「イラクの次は朝鮮」「先制攻撃論」を普段に吹きつつも、政治の実質、本質は、朝鮮国を拝外主義の絶好の対象に始終仕立て上げつつ、日本、韓国、台湾を従属化させ、朝鮮攻撃の先兵にする戦略。実質は日本、韓国制動、従属化維持とこれによる朝鮮長期包囲、疲弊化の戦略。
 日本支配階級はこれに乗りつつ、朝鮮拝外主義を煽っている。戦争の出来る体制を作ってきている。しかし戦争による再植民地化のハード戦略に比べれば、朝鮮に対する抑止、牽制力を強化しつつ、朝鮮を国際舞台に引き入れ、経済対象にするソフト戦略方が遙かに支配階級にとっても、メリットがあり、又それ以外に選択の道は無いのに。
 日本支配階級の中にもこれに反発する自主、自立派が存在するが、しかし政策的に手ずまりである。

  (四)朝鮮はどうなるか。(その一)ーーー朝鮮は潰れるか。朝鮮はつぶれない。

  1,朝鮮国は基本戦略を一貫して堅持し継続してきた。この路線は「パルチザン国家」「先軍政治路線」として体制化し、国是とされている。日本人には信じられない不合理と見られるが、朝鮮人には歴史的経緯から決してそうわ思われず、むしろ合理的と思われ、信奉され、今のところ内部から、これを変化させる勢力は居ない。
 パルチザン国家路線とは?東大教授、和田春樹は「遊撃戦路線の継承、継続」に基づく「遊撃隊国家」とこれを命名し、他方でそれを全体主義国家、「国家社会主義」と名付けている。この両義的概念には、戦前のパルチザン戦争の思想、理念の継承の基本性格もあれば、スターリン主義礼賛、分断国家を強制された所から来る国際政治からの理念の歪曲、変質の要素も含まれている、ことを示している。一種の朝鮮国の於かれている歴史と国際環境からする理念、政治の有り様のねじれ現象と言える。
 これに対して一説には、内と外を連携した反革命乃至は「反革命」の体制転覆勢力が成長している、と言う説もあるが、問題にするに足らないであろう。
 経済的貧困、飢餓は続くだろうし、経済富裕は無理だが、それおも覚悟の上で「先軍政治」路線は敷かれている。民衆はこの耐久、待望状態に慣れっこになっている。(軍事)独裁(朝鮮国はこれを“プロレタリア独裁”と「戦時共産主義」称しているが)、民主主義否定、国民への飢餓強制等のそれに伴う犠牲を覚悟し、計算に入れ、織り込み積みである。
  2,朝鮮はアメリカ、日本、韓国、中、露らの状態を冷静に読んで陣形を作っている。特に陸続きの韓国との地上戦が戦争において、決定的要素故これをはずさなければ、如何に米、日等が対イラク以上にハイテク化、絶対的制空体制を強化しても簡単に戦争挑発を仕掛けられないことを知っている。
 核「抑止力」を持てば更にそうなることを知っている。

  3、泣き所は経済再建、国際経済への参画の当分の断念・国際的孤立、経済停滞・危機の持続である。或いは統制的戦時体制を国民に強いることである。これを抜本的と言えないまでもある程度緩和出来るか否かである。ある程度は出来る、と踏んでいる。

 実際、95、96,97年のような大災害、飢餓からはある程度脱却しつつあるし、耐乏経験は十分である。 
     4、無茶苦茶な孤立化、締め上げは「暴発の危険」をある程度持っている、ことを忘れてはならない。

  5、アメリカの譲歩の可能性は無いのかーーーー可能性が無いことは無い。クリントン政権とブッシュ政権は大違いだが、つい2年ほど前国交正常化の直前まで進んだのである。相手はネオコン戦略部隊だが、経済的にも平和的経済交流の方がメリットをもたらす要因もある。朝鮮国がこのアメリカとの対峙関係を耐え抜けば、アメリカの譲歩の可能性はある。今は米、朝の根比べ時期と言える。根比べなら朝鮮の方が断然得意である。なりふり構わないから。

  (五)朝鮮はどうなるか(その二)ーーーー朝鮮の展望とその運命をどう見通すか? 

 朝鮮は自らがが望む所の米朝不可侵条約、米朝国交正常化まで耐え抜こうとしている。その段階を経て、朝鮮は国を開き、中国的な「市場社会主義」の道を歩むであろう。
 この可能性、区切りはハッキリ言って十分ある。
 ちょうど中国がベトナム戦争の勝利のめどがついた1972年、米中国交正常化の準備を開始し、アメリカがキッシンジャー等を中国に派遣する事で、これに応じ、ベトナムが解放戦争に勝利したあと(暫くしてだが)国を開き、中国が開放・改革の経済路線を採用したような事態が朝鮮に訪れるであろう。

 このこと、つまり区切りとは、本質的には米国による朝鮮国の主権の承認である。そしてこれは絶対的にゆるがせに出来ぬ、朝鮮国の基本的にして最大の国家目標である。この国家目標は党、軍、国家に於いて頑固に死守的に堅守され、全国民的コンセンサスになっている。
 そして、この区切りには二つの重要な大きな国、つまり日本と韓国、との関係正常化を一体的に伴っている。それはこの目標と一体の関係にあるが、時間的には平行してなされるか、それに先行してなされることも予想される。

 即ち、南北朝鮮の連邦化(一国二制度の実現、外部勢力=米軍の完全撤退を当面、決定的踏み絵としないかも知れない)と日本との国交正常化である。
 最初の第一の課題は同じ朝鮮民族故に、そして韓国に近代的資本主義が成長し始め、執権勢力に自信が生まれ、民主化闘争の成果の上に反米自主、民族統一の気運が高まっている事態故これまでの、幾度もの交渉、会談、特に2000年の南北首脳会談の実現を持って具体的可能性が増しつつある。京義線の開通式が行われた。これは象徴的事態である。
 第二の課題はずっと続けられてきたが、これまで成果は上がらなかった。

 しかし、2002年9/17の日朝首脳会談はその決定的一歩を画した。
 日本は東北アジアの経済圏建設のメリット、展望からして、又朝鮮は日本の対米従属体制の切り離し、日朝の経済協力関係の獲得からして両者は歩み寄った。
 日本は正式に植民地化を詫び、賠償を約し、朝鮮は拉致問題の存在を認め、謝罪した。そして両者は相互の安全保障を確認し、国交正常化を政府、両首脳間で約束したのである。これは画期的な事件と言える。
 とりわけ、拉致問題の確認とその具体的解決への踏み出しはそれが如何に精神的、思想的にそのそれぞれ性に於いてショックな事態ではあれ、そして一時期強烈なリアクションが必然的に伴うにせよ決定的に重大な踏み出しであった。

  (六) 朝鮮はどうなるのか(その三)ーーーー南北統一、「連邦制」の可否を占う。

 朝鮮半島を長きに渉って覆っていた冷戦関係は基本的には2000年南北首脳会談、2002年日朝首脳会談をもって終焉に向かいつつある。
 ある意味では1945年から47年頃にかけての全半島規模での民主的選挙による統一政権が追求されるような事態が生まれつつあるのである。
 原因は冷戦構造の極東での崩壊化である。「社会主義体制と資本主義体制」、「労働者階級対資本家階級」と言う「階級闘争至上」のイディオロギーが両者の於いて生命力を失い、これに代わってアメリカン・グローバリズム、ユニタリズムの覇権主義に抗する「人間」と「民族」がキー・コンセプトとなり、それが問題にされ、「民族和解・民族統一」が朝鮮民族の間で認識され始めたからである。
 そうであれば南北統一を目指す「朝鮮連邦」の成立は時の流れである。

 問題も多々ある。最大の南に於ける問題は米軍の駐留と南北分断、固定化、統一妨害の動きである。この動きを韓国民が資本主義の民主的発展と一体の民主化闘争、大統領直接選挙制の獲得等を通じて、これまで打ち破ってきたように、打ち破って、「外部勢力」の存在と影響を打ち破っていけるか、否かである。
 つまり歴代の軍事独裁政権が追求したような「勝共統一」「吸収合併」の反動の波が繰り返し、起こって来るであろうが、これを打ち破る、「北」を対等に扱う、ブルジョア的革新、急進的愛国心、ナショナリズム、革新的国民意識が育って行くか否かである。

 第二に韓国資本主義、韓国社会はかってない生命力溢れる時期に至ってきているし、そこから相当の自信を持ち、「北」をも納得させるような余裕を持ちつつある。
 その余裕を「北」に対して、誠心誠意発揮し、援助し、全体のバランスと調和を持った南北を貫く単一の経済社会を目指し、決して資本主義の優勝劣敗の法則に拝跪し、北を下請け化したり、収奪する誘惑と闘えるか、否かである。

 第三に日本や米国の制動を打ち破る下からの強力な国民的、民族的統一要求が澎湃として持続的に成長して行くか否かである。

 第四に、又国際的には諸問題が山積するが、最重要な問題は日本、台湾、東北中国と連携し、それぞれが小覇権を追求せず、特に日本と覇権争いをせず、EUの如く、そこに於けるフランスとドイツの如く東北アジアの経済協力圏、言うならば新「大東亜共栄圏」構想の下に協力し合う関係を構築し、アメリカの制動を断ち切れるか否かである。

 北はどうであろうか。
 北が民族統一に向かうことは南よりも遙かに難しいし、かって経験したことが無いような課題を解決して行かなければならない。
 米朝和解まで、北は現存体制を保守しなければならないが、保守しながらも、米朝和解の将来を見据えつつ、新しい原理に従って「首領制」までも自己否定するような全体と各分野での大改革を今から準備し、今からもやれるところから先行的、潜行的にもやって行かなければならない。これは一面アクロバットのような曲芸であり、正しい思想性、真の意味での民衆への愛が必要とされる。これに大胆に踏み込んでいけるか否かである。

 先ず何よりも「赤化統一」の残滓を払拭しなければならない。これは特に「南」への信用問題である。相手によりけりだが「黄海海戦」「不審船事件」のような事態は二度と引き起こされてはならない。
 又北は何よりも経済体制上、「社会主義経済」「プロレタリア独裁経済」「自力更正の主体経済」と言った閉鎖経済から自由になって行き、「南」から学び、中国的な「市場社会主義」路線を採用すべきであろう。実際99年の「人民代表者会議」ではこのことが正式に確認されている。

 中国などよりも比較にならないほど極端な「党・軍独裁体制」を緩和して行くこと。「首領制」を米朝和解まで残すにせよ、事情によっては更に、その後の「連邦化」の過程まで残すにせよ、指導者はあくまで指導者としての指導力によって支持されることを確認し、統一選挙までも射程に於いて、将来の将来は「首領制」の「制」は排すべきである。「指導者制」が確認された56年に遡って歴史的に「冷戦の産物」として総括されるべきであろう。

 「唯一指導、唯一思想」で政治や経済を雁字搦めに縛り挙げないこと。しかし首領は必要で、居るべきで、全体を統合するヘゲモニーがあるべきである。このことを否定する、ことは政治のイ、ロ、ハを否定することである。

 ここで一つ独裁論について押さえて置くべきことがある。
 アメリカはいつも「人権」、「人権」と言って自らの「民主主義」を誇るが、そして第三世界の諸国の「独裁」(とりわけアメリカと敵対する諸国の)を非難するが、その独裁が彼らの誇る「民主主義と」と相補の関係で成立していることを忘れている。二項対立関係にたっていることを忘れている。
 彼らの「民主主義」が第三世界に対してその搾取と収奪を暴力でもってやり、エゴイズムの押しつけの、その関係を前提として、成り立っていることを忘れてる。
 他方第三世界のこれに抵抗する側は、「民主主義」の代わりに、「共同体」の団結でもって対抗し、それは強力な指導部、指導者を産み出すのである。そして当然にも「民主主義」が個人利己主義のバラバラ化と偽善性を産み出しことと裏腹にそれは往々にして他方で独裁の歪みを産み出すと言うことである。だからこの「独裁者」は別の面から見れば、その共同体にとっては強力で有能な信望ある指導者の性格を有していると言うことなのである。

 フランシス福山やその先輩のロストフらアメリカの社会学者は第三世界が民族解放闘争の過程で「何故民族解放・独立闘争がマルクス主義、社会主義に引きつけられ、継続革命、連続革命を採用したり、恐れ下もなく“プロレタリア独裁”を本来のマルクスの字義とは離れ、使い共産主義に至れると錯覚するのか」は、先進資本主義国から遅れて出発した第三世界の封建・農業国が帝国主義の抑圧、搾取、収奪に抗して資本主義になって行く際の「離陸期」のや無を得ざる社会現象である、と主張した。ある面で近代化の過程が、極端な貧困と無権利を伴った場合の、極端な偏向としての「社会的病理」であり、いずれは、紆余曲折を経るモノの、資本主義に辿りつつく」と主張したが、これを「労働者や農民等人民大衆を中心にして人間が資本主義をやって行く」と解するなら、あながち当たって居ないとは言えないのである。
 実際中国革命に典型を見る「連続革命」は共産主義にたどり着けず、文革の狂熱を経て、「市場社会主義」に至ったのである。
 朝鮮は歴史的事情から、この論理に刃向かい「継続革命、連続革命」を最後の「社会主義」の捕塁として追求したが、それはチュチェ思想の思想的心棒を残しつつ、今「市場社会主義」に転換、転轍しようとしているのである。
 
 そこで「首領制度」が問題となる。この「制」については良く考えてみる必要がある。「首領制」は朝鮮民衆にとって諸刃の剣、使いようによっては難題を解決する伝家の宝刀ともなれば自らを窒息させ、切り刻む魔剣、妖刀ともなるのである。

 朝鮮国が於かれた歴史的事情から生まれた必然性はあるモノの、そしてスターリン「個人崇拝」の正当化、弁護とも相乗し、その劇薬性は強烈である。劇薬はなるたけ使わないに超したことはないのである。それは本来人間の自主性に逆らい、民族の団結を長い目で見て破壊し、指導者を王や神にし、指導者群を貴族にし、革命後継者を能力と輿望ではなく、封建的世襲制によって決めようとしたりする事となる。それは後継指導者の創造力、創造意欲などを制約したりもする。堕落して行く危険性を孕んで居るのである。そればかりか民衆の自主性を萎えさせ、アジア的な総体的奴隷制に馴れさせ、民族全体を停滞、萎縮させて行くのである。
 「赤化統一」は冷戦時代の産物であり、このような原理は「民族至上」「人間中心」の原理に取って代わられたのであり、米朝和解まで「先軍政治」路線は堅守されるにせよ、軍は決して「革命の輸出」の為のモノでなく、主権防衛と民族統一の為の国軍の位置づけであることをハッキリさせて行くべきであろう。 将来の将来、南北の軍隊は極端に減量され、とりわけ「北」はそうされレ、その資金を経済再建にまわされるべきであろう。

(以下、七、八章はあくまで構想・企画の段階で本決まりではありません)

  (七)日本はどうすべきか?
 一、日本人と朝鮮人の関係、歴史
 1,日本人と朝鮮人は縁が深い。
   血縁的にも地政学的にも原始・古代よりーー
   縄文一万年ー半島からの紐帯と7世紀頃からの自立・日本国の成立、元寇・和冦、秀吉、徳川期の朝鮮使、
   互いが自主自立し、平和的であるとき両者は繁栄する。ーー東北アジアの共栄、朝鮮人を蔑んではならない。

 2,日本近代の過ちは『西郷の道』を歩まなかったから、欧米模倣、脱亜入欧の道を歩んだから
   幕末、維新を回天させ集大成させた人。ーーー日共の「絶対王政の推転ー封建  体制の再編論」の過ち
   征韓論ではなく遣韓論を唱えた人、反欧米・アジアの自主ーー朝鮮、台湾問題、樺太問題でのアジア主義、1704年までの政治
   農民、下層武士を知る。敬天愛民と陽明学
   「堯・舜の世」(アジア的共同体〈(共産主義〉の追求)、科学的思考(島津斉彬)やキリスト教理解
   二度の流刑・自殺などを含む艱難辛苦(革命家)
   ★資本主義に「轡」をはめる問題
   人民大衆のヘゲモニー、民衆的ヘゲモニーの民族主義と国際連帯・国際主義
   「民族と階級」の人間自主主義による統一  2/26将校等と共産党革命家
   防衛戦、自衛戦で示された日本人の英雄性

 3,日本人としての共和国への提言
   イ、国家の主権、民族の自主権お尊重するも、それ故国是としてのアメリカ等への主権確認要求、朝鮮民族の自主的平和的統一の要求の国是性を承認するもパルチザン国家ー先軍政治路線から来る飢餓、不自由(話させない)、統制、簡単に殺すこと、治すべき
   ロ、首領論を認めるも首領中心論が「首領絶対制」「首領神格化」に変質する危険に留意すべきである。あくまでも指導者は民衆の基本的自主権と民族の自主権を擁護する革命家としての護民官、民衆の意見の集大成者
   ハ、スターリン主義美化、礼賛は良くない。そうしなくても首領中心論は朝鮮式に確立できた筈。
   ニ、アメリカ等超大国の核独占の不当性、エゴイズムと朝鮮側のやむなき性もある程度は分かるが、被爆体験国、「徳高き日本」を追求する日本国民、民衆は無差別の大量殺戮の核武装は根本に置いて邪道である。非核を追求すべき。    ホ、拉致問題は政治と絡ませずあくまで人道問題として扱い、他の政治問題と絡ませず、早期に解決すべき
   ヘ、冷戦期特有の所産物は漸次改めるべき。
 二、日本とアメリカの関係はどうあるべきか。ーー媚び諂っても最後は利用され捨てられる。その時になって、アジアに接近してももう遅い。米英の極東、アジア分断策に乗せられず徳高き、信義ある日本へ!戦前の教訓から今を見通す。
   米英グローバリズムの加担が今や米英覇権主義への加担に質的に高度化し、発展しようとしている。その後に何が来るかーー利用の後のポイ捨て。
   普段に極東、アジアの民衆的民族的気運に立脚し、これを支持しつつ、アジアとの信義を守り、自主・自立し米英に伍して行く。
 1,第一次世界大戦まで、ペリー黒船来航、不平等関係、媚びる。英米は対ロシア、対ドイツでは利用したが、その後はどうであったか。
   米英にその後の見捨てられ、アジアに接近しても民衆的、民族的支持は得られない。それでもそれを総括し努力する必要はあった。ヒットラーのソ連侵攻の過ち。
   日本の反帝国主義、反植民地主義やソ連への態度、連合と反スターリン主義の路線の総括の必要性
 2,敗戦後ーーアメリカは占領、支配の為の民族的誇り、主体性の背骨のへし折り、骨抜きか
   冷戦期の衝立としての利用。従属かの徹底追及。
 3,冷戦終了後のグロ−バリズム世界の創出期
   従属化をテコに更なる民族的アイデンティティーの喪失化(個人利己主義、拝金主義、快楽主義)、日本の徹底収奪、経済支配
 4,ブッシュ政権、9・11以降ーーアメリカン・グロ−バリズムのユニタリズム・覇権主義への深化、発展ーーーー日本はアフガン・イラクでの従属侵略の道に踏み出す。アメリカは日本をイラク侵略に加担させるために核問題等を事前にリークし、「朝鮮脅威論」を煽った形跡がある。
 三、米、英の極東、アジア分断策に乗せられず、徳高き、信義ある日本へ!
   自主反米統一戦線を!
 1,極東、アジア分断策にこうして。自主愛国の反米闘争の陣形。
   イ、日本人、朝鮮人(韓国人、朝鮮人)の和解と連合、先ず極東の共栄圏を!
    朝鮮国への日本式太陽政策を!朝鮮半島民衆と日本民衆の連帯。対話のための抑止力
   ロ、 イラク等全アジア民族、民衆との連帯。
   ハ、アメリカとの民衆、諸民族との連帯、欧米民衆、民族、国家との連帯
 2,国内従属売国勢力との思想、政治、文化、理論等の全線的闘いを!第三の政党を!
   日本的ネオコン勢力、救う会、拉致議連
   家族会への対応、
   核をクリヤーする自衛の内容
 3,徳高き、信義ある日本の理念確立の方向
   人間自主主義、民衆主義、人類主義を持った民族主義/日本列島の自然・風土に感謝しよう。/平和・非暴力と武士道を両立させる

  (八)9/17を日朝関係の原点とすべく日朝不戦の平和義士団を!
 1,9/17を輝かせよう。日朝不戦、ピョンヤン宣言実施の二点が行動綱領、基準
 2,民間の平和義士団、民間性
 3,日本人、日本民衆の感性、認識を伝えよう。談判的性格をも含む
 4,共同声明、拉致問題解決のめど、非核の理念
 5,各界人々が多数でないと、安い
 6,白い船、適切な期間(10日間ぐらい)
 7,ルールを守る
 8,実務、段取りの詳細省略