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資本論 第1部 資本の生産過程 第1章 商品

第3節 「価値形態または交換価値」の抜粋と解説 (下) 

2009年 11月 2日

塩見孝也


リンネルを他の多くの商品と交換し、従ってまたリンネルの価値を一連の商品で表現すれば、必然的に他の多くに商品所持者もまた彼らの商品をリンネルと交換しなければならず、従ってまた彼らのいろいろな商品の価値を同じ第三の商品で、すなわちリンネルで表現しなければなりません。
 1着の上着   =20エレのリンネル
 10ポンドの茶 =  ↑
 40ポンドの珈琲 = ↑
 1クオーター小麦 = ↑
 2オンスの金   = ↑
  半トンの鉄 =   ↑
 X量の商品A =   ↑

 ここから「単純」に表している、「統一的」に表している、従って「一般的」である。

 第1形態、第2形態では、「商品自身の使用価値または商品体とはちがったものとしては自己の価値形態を表現する事はできなかった。つまりリンネルに等しいものと鉄に等しいものは、すなわち上着や茶のこれらの価値表現は、リンネルと鉄が違っているように違っている」「偶然的な時折」のみに、交換価値、労働の量は表現されていない。第二形態は、第1形態よりは「1商品の価値をその商品自身の使用価値から区別してはいる」ものの。家畜が慣習的に例外的にではなく、いろいろな商品と交換されるようになった時

 形態3では、「商品価値を商品世界から分離された一つの同じ商品種類、たとえばリンネルで表現し、商品の同等性を表す。」「どの商品も価値を、一切の使用価値から区別され、そのことによって、その商品とすべての商品とに共通なものとして表現される」ようになる。「言い換えれば、この形態が、初めて現実に諸商品に互いに価値として関係させるのであり、言い換えれば諸商品を互いに交換価値として表させるのである。」「前の形態は一商品ごと、他の商品の助力なしで行う個別商品の私事」「一般的価値形態は、ただ商品世界の共同の仕事としてのみ成立する。」これらのものは「純粋に社会的定在であるからこそ、ただ商品の全面的な社会関係によってのみ表現されのである。従って、―――略」「リンネルに等しいものという形態では、いまやすべての商品が質的に同等なもの、すなわち価値一般として現われるだけでなく、同時に、量的にも比較される価値量としても現われる。

 「リンネル自身の現物形態がこの世界の共通な価値姿態なのであり、それだから、リンネルは他のすべての商品と直接に交換されうるのである。」ここまではp125〜126。

 「リンネルの物体形態は、一切の目に見える人間労働の化身、その一般的な社会的な踊(よう)化として認められる。――中略―――労働の具体的形態と有用的属性とが捨象されている労働として消極的に表わされるだけではなく、積極的な性質、この労働が一切の共通な人間労働という性格に、人間労働の支出に還元された」性質が現われてきます。P126

 (中)のところで押えた「この使用価値と価値の内的対立が、一つの外的対立になること」(P116)が、ここで実際化してゆくわけです。


形態4、貨幣形態、「定在」を問題にする。

 「一般的等価物は、他の諸商品は他のすべての商品体の無限の列で相対的に表現されるのである。こうして、今では、展開された相対的価値形態、すなわち形態2が、等価物商品の独自な相対的価値形態として現われるのである。」「一般的等価形態は、どれにでも付着できる。(なぜなら)、ある商品が形態3であるのは、ただ、それが他のすべての商品によって等価物として排除されるからでありまた排除される限りの事である。そして、この排除が最終的に一つの独自な商品種類に限定された瞬間から、初めて商品世界の統一的な相対的価値形態は客観的な固定性と一般的な社会的妥当性とを勝ち得る。、その現物形態に等価形態が社会的に合成する商品種類は、貨幣商品となる。言い換えれば、貨幣として機能する。商品世界の中で一般的等価物の役割を演ずるという事が、その商品の独自な社会的機能となり、従ってまたその商品の社会的独占となる。このような、特権的地位を、形態2ではリンネルの特殊的等価物の役を演じ、形態3では自分達の相対的価値を共通に、リンネルで表現しているいろいろな商品の中で、ある一定の商品が歴史的に勝ち取った。すなわち、金である。それは、形態3の商品リンネルを商品金に取り替えれば」良いのである。p131〜p132。

「一般的等価形態が今では社会的慣習によって最終的に商品金の独自な現物形態と合成して、いるということだけである」P132 。

「金が諸商品に対して相対すのは、金が諸商品に対して以前から相対していたからに他ならない。すべての他の商品と同じように、金もまた、個々別々の交換行為で個別的等価物としてであれ、他のいろいろな商品の商品等価物と並んで特殊等価物としてであれ、他のいろんな商品と並んで等価物として機能していた。次第に金は、あるいはより狭い世界、あるいはより広い範囲の中で一般的等価物として機能するようになった。それが、商品世界の価値表現においてこの地位の独占を勝ち取ったとき、それは貨幣商品となる。そして金が既に貨幣商品になってしまった瞬間から、初めて形態4は形態3と区別されるのであり、言い換えれば一般的価値形態は貨幣形態に転化しているのである。」P132。

 以上が金商品の歴史であり、それが、形態3から、移行する構造、論理であります。

 金は、硬く、均質で、摩滅しにくいという物体的性質、それ故に分割しやすく、かつ合成しやすい、を、他の物体とは違って持っています。

塩見孝也