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外国特派員協会でのトーク報告

2008年 3月 3日

塩見孝也

このところ、この映画、若松「実録・連合赤軍」で、話す機会が多くなっています。

昨年末、12月15日の「テアトル新宿」、30日の雑誌「創」主催の「ロフト・阿佐ヶ谷」の年末記念トークもそうでした。

去る1月30日(水)、有楽町にある「日本外国特派員協会」主催の、この「映画の上映とトークの集い」に招かれました。

会場は、有楽町電気ビル北館20階の協会の会館でした。

立派な会場で、7〜80人の外国人ジャーナリストが来られていました。

イタリア人ジャーナリストのピオ・デメリアさんが司会で、しっかりした女性通訳の方がつかれました。

3時間半の映画鑑賞の後、トーク、質疑となりました。

ゲストは、若松さん、僕、植垣君、それに永田洋子さん役、森恒男さん役の二人の俳優さんも参加され、若者感覚、俳優感覚を披露され、トークに華やぎを加えてくださいました。

途中、元赤軍派兵士で、12年間、「逃亡」し続け、それを「自慢ささてくれや」と言う本に表した、キム・カンジ氏も、駆けつけ、特別挨拶をしました。

連赤事件は、外国人には、ほとんど知られていなく、相当ショックであったようです。
 若松さんは、これをベルリン映画祭に出品されるのですから、この映画は、世界中に波紋をもたらすでしょう。

最初は、映画の意義・評価、その後、とこれと一体の、事件そのものの評価の議論になりました。

当然にも、深刻さを踏まえた上でも、「同志殺し」の批判が出されました。

“「共産主義化」に究極のゴール、回答はあるのか”らら。

そして、どうしてこのような事態に至ったのか、となってゆきました。

このくんだりになると、僕の出番です。

「共産主義化」は下部、同志兵士の革命的戦闘性に付け込んで、騙す、野合「新党」権力防衛のベールであったことを指摘しました。
 
毛沢東思想らアジアの共産主義の歴史的特殊性(スターリン主義の問題)それを、無批判に受け入れた、日本の若く未熟なコミュニスト革命家の問題、日本の民衆運動に付きまとってきた外国権威盲従主義の問題も出ました。

僕は、連合赤軍派=「新党」に全く関与していず、立場も違うことをはっきりさせつつも、外国人との対話ですから、日本の民衆運動を代表する立場で、その負の遺産を克服することに努力してきた、らの応答対応をしました。

このスタンスでは、僕も植垣君も同じスタンスですから、二人は連帯して対応しえた、と思います。
 
トークは、終始、緊張感ある真摯なものでしたが、最後の段階で、俄然、白熱し、急激に盛り上がりました。

「赤い旅団は、モロ首相を拉致、処刑にしたのにも関わらず、何故、一人も死刑にされていないのか」「ネグりなどは、獄中から立候補し、当選し、出獄し、その後フランスに亡命できた」「ドイツ赤軍は、指導者のバーダー・マインホフは、自殺(真実は謀殺)したが、死刑判決は受けていない」「ドイツ新左翼の指導者、ドチュケ氏は、緑の党に転進し、政府の高官になった」「ナチスの最高指導部の一人も、獄中20年後、釈放されている」

「それに、比べ、重信さん、若生さん、丸岡さん、西川さんら、パレスチナ支援の国際義勇軍として参加し、パレスチナ側もそれを承認し、パレスチナ国会議員のライラ・ハリドさんは、わざわざそのことを証言すべく、日本の法廷まで来ているのに、無期刑や有期刑の最高20年を受けている。」

「1970年に起こった「よど号」事件の人々は、あれから38年に立つも、外国に居るから時効は成立しない、という理由で、未だ訴追され続けている。これは、一体どうしたことか。この違いは、何に由来するのか?」

「反日武装戦線らの革命家達も、死刑や無期刑の弾圧を受け続けている」
 日本と外国の刑法、受刑制度、大きくは、日本と欧米外国の社会、国家の在り様における、歴史的相違の問題に、論点が集中してゆきました。
外国人にとっては、連赤事件も不思議でしたか、こういった事態も又誠に不可思議であったようです。

かかる事態は、日本近代史に於ける脆弱性、後進性、民主主義革命の不徹底性の問題です。

とりわけ、戦後革命の不徹底の問題としてあります。

イタリアでは、民衆蜂起によって、ムッソリーニ体制は、完全に覆された、ドイツでは、ナチスは、米ソの連合国によって、完全に打倒され、いびつ極まりないブルジョア民族主義の一形態、汎ゲルマン主義、ナチズムは一掃されました。

しかし、日本では、日米支配階級の妥協、取引によって、天皇制と皇軍(とりわけ陸軍)が、温存されてしまったこと。

この、民衆革命の不徹底が、その後の「岸信介のような戦犯が総理大臣になっても不思議とされない」ような、戦後日本の在り様、政治・思想風土を決定してきたこと、らが指摘されてゆきました。

日本では、もっともっと、憲法を活かした民主主義義闘争が徹底されるべきという結論でした。
 
なお、昨年末、12月27日の「テアトル新宿」でのトークイベント、若松、僕、植垣、平野のトークが「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」(朝日新聞社、税込1,470円)として出版されています。

ここで「トークバトル」
「そんなにニコニコとして言う話じゃねえだろう!もう少しうなだれて考えろ」
「うなだれてしゃべるぐらいなら、ここには出てきません」
 が特集されています。

僕は、ここでは、連赤事件の真相を、植垣君を前にして、遠慮会釈なく、歯に衣着せず全面展開しています。是非、ご購読を。
 
この映画の待望の封切は3月15日(テアトル東京)です。是非、ご観覧をお願いいたします。

塩見孝也