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来日した 温家宝・中国首相の国会での演説について


日中両国民衆は、互いの平和と繁栄のために、日中友好・互恵互助の信義の関係を作り出そう

2007年 4月 12日

塩見孝也


繁栄の中にあって、一定の余裕と自信に溢れ、それ故に、実に、謙虚で、格調高い、“大人の中国”、“さすが、(その)中国の首相だけのことはある”、こう僕は、感銘したのでした。

これは、本日・12日、朝刊の温家宝首相と安倍首相の日中首脳会談の記事を見、その後、国会での温氏の国会演説を拝聴させていただいた、僕の率直な感想でした。 

中国の対日政策の基本が、非常に格調高く、しかも謙虚、率直、分かりやすく、語られました。

この演説は、日本全国に放映されるだけでなく、中国全土に放映されます。

であれば、日中両国民衆は、日中両国の置かれている、生々しい現実を知り、それをどのような方向で処理してゆくのが賢明か、について、決定的ともいえる指針となり、甚大なる影響を与えるものと思われます。

とりわけ、この数年、中国につきましては、いろいろなことが、言われてきました。

実利主義路線とこれに基づく、民衆格差、地域格差、公害、軍事力強化、軍拡、覇権主義、一対一的対日排外主義、国家主義の煽動、対民衆専制、少数民族抑圧、私有制の復活を推進する革命党から変質、等々、これは全て現実であったと思います。

これが、どう是正されてゆくか、或いは、是正不可なものかにつきましては僕は判断を、今のところ留保するものの、少なくとも、この演説を聴く限り、胡錦濤・温家宝政権は、この6年3ヶ月余りの刺々しく、せせこましい、対日関係を改め、日中国交正常化以来90年前半ぐらいまで続いた毛沢東・周恩来以来の日中友好の路線の原則を復活させ、友好外交に打って出ようとしている、という強い印象を受けました。

果て、それが、どう内政に跳ね返ってゆくか、彼等が言う「科学的発展観」という指導理念、路線からどう組み立てられ、出てきたか、今後この内政と外交が、どう連関しつつ、展開されてゆくか、については、未だ、僕は留保するものの、この外交路線は、基本的に日中両国民衆の利益に決定的に合致する正しい路線である、と直感しました。

現代中国!それは重大極まる、いろんな選択肢の中に置かれながら、現実に適応せんと必死の模索にの中にあること、それ故、僕らも叉、予断と偏見を排し、その日々変わりつつある現実こそ、曇りなき目で見つめてゆく姿勢こそが必要なことを痛感いたしました。

温首相は、日中の古来からの友好関係、明治から大正に掛けての近代中国を拓いて来た周恩来氏や魯迅らがどんなに日本人から世話を受け、学んできたか、縷々述べ、叉、改革・開放路線を取ってきて以来の日本の援助らに触れ、この友好の歴史からすれば、いわゆる歴史認識の問題、約十年の侵略戦争の災禍は否定することは断じて出来ないが、非常に短く、前に向かって、相互で確認されている日中友好の原則に基づいて、友好を切り拓いてゆけば、十分癒し、解決しうるものである、と明言しました。

日本の執権者たちに、言葉でなく行動で示して欲しい、と穏やかながらきっぱりと述べました。

同時に、中国がおかれている現実を、社会のベースが脆弱で、中国は発展しつつあるとは言え、未だ発展途上国であり、周囲の安定した環境が必要であり、叉社会主義建設と民主主義について、課題を持っていること、叉日本などの「先進資本主義」国の資本、技術、環境問題、知的所有権の問題らでいろんな問題で尽力を得たい、と驚くほど率直に述べられました。

釣魚台地域の共同開発、東アジア地域の共同による繁栄、台湾問題での日本の言行一致の要求、両国首脳の定期的交流、軍関係の定期的交流、相互内情視察の保障、留学生、研修生ら日中青年達の大規模な相互派遣、交流らも首脳会談では確認されていました。

語られたことの基調は、日中は「一衣帯水の関係」「友好こそが、相互・互恵互助を圧倒的に生み出す」「恨みの感情を徳で報いる感情に切り換えてゆく」といった風にまとめられますが、全く共感・賛同しうるものです。

このような、中国指導者の度量ある態度に比較し、安倍首相らのなんとせせこましく、ミミッチー態度なことかが浮かび上がり、その情けなさを痛感させられました。

「国民投票法案」は、本日・12日に衆院憲法調査特別委員会で、与党により強行採決されました!このままでは、明日・13日)には衆院通過となってしまいます。

このような政治が温家宝首相がいう、「口先ではなく行動で示して欲しい」という中国民衆と政府の切なる要求をどれほど裏切る、二枚舌政治であるかは全く明白です。