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 「11・3 『持たざる者』の国際連帯行動」に参加して

2006年 11月 4日

塩見孝也


 昨日の11月3日(金)、午前中は原稿書きに集中し、相当乗り始めたのですが、どうしても行きたい集会があり、午後からは、そこに行く事にしました。

 最高の秋晴れ、小春日和を浴びながら、僕はチャリンコで清瀬駅に向かいました。

 その日は「文化の日」ですから、僕等、民衆にとっての「良き文化の日」にしたかった、というわけではないですが、お目当ては、2時からの恵比寿区民会館ホールで持たれた「11・3 『持たざる者』の国際連帯行動」でした。

 非常に内容のある、よく準備された、日本の、戦闘的で、世に媚びないで、原則を貫く、見識ある労働者のもっとも良き部分を代表する、非常に広い視野を持つ集会といえました。

 普通、新聞や雑誌、テレビでは、見ることも聞くことの出来ない、しかし、それが日本の世論を、まともな内容に引き戻してゆくような、震源地的思想、情報満載の、一面では刺戟に満ちた集会でした。

 二つのメッセージが寄せられていました。

 一つはフランスのプノワット・ビューロー氏からのもの。

 今一つは、韓国のこれまで連帯していたキム・ホジュン氏(民主労総建設産業連盟土木建築協議会)へ宛てた「日雇全協」らからの連帯の挨拶でした。

 一つ目は、DAL:「住宅への権利」、「NO−VOX」の闘いの報告と連帯の挨拶で、パリ郊外カシャン市のスクオッターに住む1000人の旧植民地出身の外国人が、この8月、政府当局によって強制排除され、その中の300人が10月半ばに再入居先を勝ち取り、非正規滞在者達が在留資格の再審査を受けることを許可されたことの報告、叉昨年2月、大阪での強制排除に抗議してパリで連帯行動がもたれた、との報告でした。

 メールで送られてきたフランス語のメッセージとそれの日本語訳文が資料には掲載されていました。

 正に、文字通り「持たざるものの国際連帯行動」といえるものでありました。

  ※DAL(Droit Au Logemennto):「住宅への権利」の意
  ※「NO−VOX」は「声無き者」の意


 二つ目は、キム・ホジョン氏等3人が、仲間への公安弾圧に抗議し、ソウルのオリンピック大橋の搭上で高空籠城を開始しているのに、日本の「日雇い全協」を始めとする建設労働者達が連帯の挨拶を送った内容です。  いずれも瞠目すべき内容といえます。

 その後、10数団体の連帯の挨拶が続き、最後に集会決議文が読み上げられ、続いてデモとなりました。

 アタック・ジャパン、フリーター労組、イラン人ジャマルさんとその支援者、全国精神病者集団、統一獄組、地域労組南部地区地域共闘交流会議、韓国山本製作所労組、アジア・日本連帯共同行動、セックス・ワーカー・プロジェクト、アメリカのピープル・グローバルアクションのデビッド・グレーバーさん、ピープルス・プラン研究所の小倉氏、一坪反戦地主の関東ブロックの人、「反戦・抵抗者の会」の11・26の「反戦と抵抗の祭り〈フェスタ〉」の呼びかけ、野宿労働者の会らいずれも実践行動をこれまで積み上げてきた人達ばかりだけに、その挨拶は、リアリティーを持ち、落着いたクールな話し振りながら、迫力がありました。

 僕の知っているグループも4〜5、参加していました。 知り合いも可なり来ていました。

 共通しているのは東アジア、欧米、南米らの運動と国際主義的連帯の精神に満ち、それを実際に実現していることでした。

 志が、言葉、文化の壁を打ち破っていっているのです。

 「世界社会フォーラム」の運動や「ネグリーハート」の「帝国」「マルチチュード」ら、ともリンクし、参考にしているようでした。

 インターネットの時代、グローバル化の時代、ここに集まった世代は、70年代、「国民国家」の厚い壁に阻まれながらも、僕等が必死で追及した国際主義的連帯を、相互が公然と交流しながら、現実に実践しているのには、8・12〜8・15の「靖国は要らない!キャンドルデモ」の時もそうでしたが、隔世の感を受けました。

 このような人々、運動が、核に座ることで安倍などの全くの超アナクロの排外主義、超国家主義政治は打ち破られ、「常備軍無き真の自衛」、世界平和も実現され、その中で、「持たざる者」の人権も守られてゆくものと確信しました。

 本山日本資本と闘う韓国労働者は10人近くで、大挙してやって来ていましたが、ナント元気なことだったでしょうか。

 セックス・ワーカー・プロジェクトの若い女性は、現在の外国人風俗産業の労働者の実態、政府・入管らの間が抜けた、実態に合わない強制と排除、差別だけの行政の状態を暴露しました。

 ジャマルさんは、強制収容から解放され、10月31日には、裁判で勝訴し、日本滞在が認められたとのことです。検察は控訴するようですが。

 彼は、晴れ晴れとした顔つきで報告していました。付き添いの人は、僕の知っている、これまで彼をづっと支援していたKさんでした。

 このような国際主義的連帯が地道に執拗に続けられているのです。

 こういった人々の運動が、もっともっと広がり、全体の政治の中で市民権とリーダーシップを獲得し、叉「9条改憲阻止」の中核的推進力になって頂く事を願うものです。

 朝鮮国核実験は、日本社会に、一時的にパニック的逆流現象を呈させましたが、あれから一ヶ月弱、日本民衆はそれを克服し、安倍政権を、逆に揺るがすような、巻き返しを開始し始め、世論に相当落ち着きが出てきている、と僕は現状を把握しています。

 朝鮮国がどうであろうと、こうであろうと、日本民衆は、それにお構いなく、自力で国際主義を実行し得る力量を身に付け、日本民衆の平和主義は、幾ら執権勢力があれこれ画策しようと日本民衆の中に定着していると確信しました。

 民主党鳩山氏すらが、麻生外務大臣の罷免を要求しつつ、“断固たる”(?!)「核武装化反対」の意志を表明して、アッピールし始め、中山(政調会長)は、おずおずと本音を出し、孤立せざるを得なくなっています。

 自民党は、足並みが乱れ始めてきています。

 このしんどい一ヵ月半の時期でも、このような不屈の無数の人々、民衆が営営と頑張っていたからこそ、民主党も対決姿勢を示し始めたのです。

 僕等の「9条改憲阻止の会」の10・21行動も、その一部をなしていたのか、と思うと、僕は誇らしい気持ちになるのでした。

 11月24日(金)は、ネットラジオの公開生放送です。雨宮処凛さんがパーソナリティーをつとめ、「素人の乱」の松本哉君と僕がゲスト出演する「オールニートニッポン (ALL NEET NIPPON)」(毎週金曜日、19:00〜21:00に生放送するネットラジオ)での鼎談、頑張ろうと思います。 会場の、渋谷T's salonでの公開生放送で、観覧できる体制が用意されているとのことで、皆さんいらしてください。2時間のロングランです。

 叉11・26の「フェスタ」には出向こうと思う。 皆さんも来て下さい。

 12月初めには、「情況」1月号に、僕のネグリ―ハートの「帝国」の書評も掲載されます。その次の号に[マルチチュード]が載ります。


               塩見孝也